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2024.07.11 塾長ブログ

数学で小論文!? 2025年度東北医科薬科大学医学部 総合型選抜数学小論文分析

執筆者紹介:木村友哉

医学部受験専門オンライン塾「医塾」代表。「生徒ファースト」の指導で、担当生徒のために年間で最大約1900年分の過去問を解き、個別指導講師として14年以上、多くの生徒の医学部合格をサポートしている。指導科目は生徒から要望があれば持ち前の勉強量を活かし、数学・英語・現代文・小論文・推薦対策など多岐にわたる。医塾では主に数学と小論文を担当。国公立医学部や私立医学部に多くの生徒を合格させた実績を持つ。その他、英語と現代文では東大を含む旧帝大へ、小論文では医学部や慶應へ、総合型選抜では医学部も非医学部も数々の生徒を合格させている。

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数学で小論文!? 2025年度東北医科薬科大学医学部 総合型選抜数学小論文分析

こんにちは、医塾の木村です。
そろそろ夏期講習の時期ですね。
この夏の過ごし方が受験結果を左右するといっても過言ではありません。
まさに人生を左右する「夏」ですので、後悔の無いように取り組んでいきましょう。

今回は東北医科薬科大学の総合型選抜について分析しました。
「数学小論文」という見慣れない科目になっていますね。
東北医科薬科大学は、来年度から新しく医学部総合型選抜(東北地域定着枠)を実施します。
元々地域枠が多い大学として有名ではありますが、A方式の宮城県の地域枠減少(30名→10名)に伴い、20名分を総合型選抜として募集する形ですね。
地域枠とはいえ5年間の勤務ですのでだいぶ短いです。普通は9年ですからね。

ただし、1点注意が必要です。
修学資金制度に必ず一度は応募しなければならないので、その制度に応募して、採用されなかった場合かつ修学資金を希望しない場合(学費全額を払う場合)に5年間の義務勤務でよいということです。
採用された場合は通常通り9年程度勤務が必要になりますのでその点は注意が必要です。
また、今回の総合型選抜は評定平均を要求する(3.8以上)ので、その点も注意ですね。

【学校情報】

東北医科薬科大学総合型選抜(東北地域定着枠)
令和7年度(2025年度)より実施。


出願登録期間9月26日〜10月11日
出願書類受付期間9月26日〜10月13日
・出願資格:4浪までOK
・出願要件:専願なので合格した場合は入学が確約できる者、調査書の「全体の学習成績の状況」が3.8以上(数学3、理科2科目履修が必要)、宮城県以外の東北5県(青森、岩手、秋田、山形、福島)の修学資金制度に応募することが確約できる者など。
※詳細は募集要項を参照ください。

1次試験:書類選考(志願者100人未満なら全員合格)
自己推薦書800字程度(医師として将来東北地方に貢献する意欲、本学を選んだ理由、在学中の学習目標について)、推薦書、活動実績書など提出された書類を審査して合否を判定する。

2次試験10月26日(土)、27日(日)
26日
英語小論文(70分)100点
数学小論文(70分)100点
理科小論文(70分)(物理・化学・生物から2つ選択)100点(各50点)
27日
グループ面接20分程度(点数化されます)

合格発表11月8日

【全体概評】

小論文と言いつつも、基本的には「記述式の数学試験」と捉えて差し支えないかなと思います。記述式に慣れている人であれば特別な対策は不要だと思います。ただ、東北医科薬科大学の一般入試はマーク式試験ですので、東北医科薬科大学の志望者の目線で考えると、対策はしにくいかもしれません。この夏に問題演習をする際にはあまり難易度が高くない国立の試験から、1A2Bの範囲の問題を抜粋して取り組むのも一つの選択肢だと思います。

問題レベルについても、難易度はそこまで高くはありません。
ただ、総合型選抜=試験の時期が早いこともあって、基本的に一般入試より問題は簡単、という印象なのですが、東北医科薬科大学については、総合型選抜とはいえ、簡単すぎるとまでは言えないですね。(しっかり勉強しましょう)


サンプル問題を見ると、数学3はオマケ程度なので、数学3については基本(教科書レベル)ができていれば十分だと思います。1A2Bについても、教科書・問題集レベルのものが多いですが、完答するためには(数学で高得点を取りたい人は)きちんと入試に向けた演習をしておくべき難易度だと思います。

【大問毎の分析】

大問1 数列・数学的帰納法

数列と数学的帰納法というある種の典型パターンですね。こういう問題を出したいから記述形式にしたのだろうと感じさせられる大問です。
(1)計算するだけなので必答です。1分以内に処理してほしいですね。
(2)ここが勝負ですね。予想はできてほしいです。不安であればa4を出してみてもよいと思います。
これを帰納法で証明するのは数学が苦手な人であれば手が止まる可能性大ですね。合否を分けるポイントかなと思います。
連続する2つの整数が互いに素であることは知っていないと苦しいかなと思います。証明は数秒でできますが、これを省略しても大幅な減点にはならないかなと思うので、パパっと先に進んでしまった方がよいですね。
(3)(2)ができた人はほぼ確実にできてしまうかなと思います。最後の方に式出てきますからね。n≧2なので、初項の処理には気を付けてください。求めた後にn=2,n=3をチェックして、(1)の値と見比べてみましょう。
(4)(2)(3)ができたのであれば正答率95%以上だと思います。
ということでこの大問は(2)ができたかどうかですね。一般的には数学的帰納法で証明できなくても、それが正しい前提で次に進むことができたりもするのですが、今回の問題はそれも難しいです。マーク形式であれば答えだけは出せますが、今回のような記述形式であれば点数をもらうのは難しいでしょう。

大問2 ベクトル・図形

(1ー1)内積が思いつくかどうかですね。1、2分でできてほしい問題です。
(1-2)コサインからサインへの変形は教科書レベルですね。
(1-3)ベクトルの面積公式を使わなくても、全問までの誘導に乗ってサインで面積を出せばOKですね。
(2)いろいろ解き方が考えられますが、点と直線の距離が最速かなと思います。面積を文字で置いてY切片の最大・最小に落とし込んでもよいとは思いますが若干面倒ですね。ただ、どちらでも支障はなさそうです。

大問3 確率・極限

(1)特にコメントがありません。12個から4個取るのではなく1つずつ取るのでその点は注意ですね。
(2)白玉を何回目に引くのかのパターンだけ計算し忘れないように注意です。
(3)反復試行の基本問題ですね。確実に正解したいところです。
(4)急に難しく見えるのであきらめる人も多そうです。落ち着いて文章を読めばそこまで難しくないですのでできてほしい問題です。K回目に赤玉=K-1回目まではずっと白玉ということですね。
後半は期待値の極限値を求める問題ですね。よくわからないシグマは書き並べてください。一つずつ書いていくと等差×等比パターンだと気が付けます。
極限の処理は数学3ですが、ほぼオマケみたいなものですね。
確率を文字であらわして極限値を求めるというのは入試で超頻出の問題です。

大問4 微分・図形と方程式・2次関数

(1)については一つずつ丁寧に求めていきましょう。接点のX座標を文字で置けば、出てきた2つの値がそれぞれP,QのX座標になりますね。
(2)12分の1公式で秒殺でよいとは思いますが、記述式試験なので、時間がある様子であれば地道に積分で求めてもよいとは思います。
(3)PQBの面積をどうやって表すのかですね。私は原点を通る三角形の面積で処理しましたが、透析変形をして、点Bを点Pの真下に移動させる方針もありかなと思います。
後半の最大値とTの値については基本的な2次関数の最大・最小なので前半ができた人は後半もできますね。

余談

最後の問題の「S(t)のそ最大値およびのときのtの値を求めない。」は誤植だと思います。
「S(t)の最大値およびそのときのtの値を求めなさい。」が正しいですかね。
「求めない。」→「わかりました!求めません!」という人が出てきそうですが、本番でこのように書いてあってもちゃんと求めてくださいね!(笑)