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2025年度第1回全統記述模試(高3現代文)も解いてみた(解き方のコツも解説)
執筆者紹介:木村友哉
オンライン個別指導塾「医塾」代表。「生徒ファースト」の指導で、担当生徒のために年間で最大約1900年分の過去問を解き、個別指導講師として14年以上、多くの生徒を難関大・医学部へと合格させている。指導科目は生徒から要望があれば持ち前の勉強量を活かし、数学・英語・現代文・小論文・推薦対策など多岐にわたる。医塾では主に数学と小論文を担当。東京大学文3(英語・数学を担当)や、千葉大学医学部(数学を担当)名古屋大学(英語・現代文を担当)、慶應大(英語・数学・小論文を担当)など、難関国公立大学や国私立医学部に多くの生徒を合格させた実績を持つ。その他推薦対策(志望書の添削、面接対策)も行っており、筑波大学(生物資源学類)、慶應(看護、文、総合政策、環境情報)、上智大学(外国語学部英語学科)等、数々の生徒を合格させている。
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こんにちは、医塾の木村です。
要望がありまして、数学、英語に続いて国語の現代文(大問1・2)を解いてみました。(大問5は選択していない様子でしたので解いておりません。)
解き方の基礎が分かっている人にとってはそんなに難しくなかったのかなと思いますが、比較的文字数の多い設問が複数ありますので、時間と集中力の勝負という感じかなと思います。
数学・英語同様に解いた感想+復習のポイントについて書いていきますが、国語については、解き方を知った上で解き方に沿って実際に答案を書いてみる作業が非常に重要です。
著作権の関係で私が解いた答案は見せられないのですが、現代文の解き方・勉強の仕方が分からない人もいると思いますので、何を考えて答えを出したのかは書いてみようと思います。
*ちなみに、河合模試の選択問題は基本的には5択が2択に絞れるようにできています。まずは2択に絞る→その後1つに決める、というように選択肢を絞り込んでいくことが有効です。
2択までは絞れるけどその後で間違えてしまう人が多いと思いますが、効果的な解き方を知らないからですね。テクニックで何とかできたりします。
また、生徒には記述問題は基本的に「7割解答でよい」と伝えています。話の方向性や引っ張ってくる要素があっていれば7割は基本的に割らないからです。
満点が取れそうならそれはそれでよいのですが、満点にしようとして時間を取られてしまって、他の簡単な問題を落としては本末転倒です。そのため、満点というよりは7割を割らない解答を目指させています。(もちろん、その解答で満点になることもありますので、解く際の心持ちとして、1つの問題にこだわり過ぎないという方が正確かもしれません)
大問1
問1X Xの内容はその後に「例えば~」と具体化されているので、マンスプレイニングの内容に該当するものを選ぶ必要があります。
抽象表現からの具体化はよくあるパターンですね。
この時点でイウエは無しですね。
残っているアとオで違うところに着目すると、相手をコントロールするのか機嫌を損ねるのかです。この後の話を見ていくと、確かに機嫌を損ねる人もいるかもしれませんが、明確には書かれていません。調整を通して相手が無知な者と想定されてしまうというお話ですので、「相手をコントロールする」方が近いですね。
問1Y こちらは結構簡単かなと思います。直後に「聞き手が無知だからマンスプレイニングがなされるのではない。」と書かれているので、これに合うものを選べばよいですね。
問2 理由説明問題ですね。問題文が長いので何が問われているかよく確認しましょう。
「トイレなどの張り紙について、何かしらの強制力を感じさせられるのはなぜか」という話です。結局は「調整」の話を書けばよいのですが、直接的には2ページの12行目「このメカニズムによって、~利用者は感謝に値する利用法を目指すよう促される、ということではないだろうか」の部分が答えですね。
この文章を基軸としながら、「このメカニズム」=「調整のメカニズム」の話を書く・・・というように一つずつ言い換えたり肉付けしながら解答をまとめていく形ですね。その際に1ページ目の内容(トイレの張り紙の話が出てきている)から拾えるところを拾ってまとめていくという形ですね。
作業に慣れていれば7割以上の解答にはできるかなと思います。
問3 「どういうこと」問題ですね。傍線部が「どういうことか」と問われたらやることは簡単です。傍線部の内容を他の場所の表現等で言い換えながらまとめていけば自動的に解答になります。
傍線部「マンスプレイニングがいわば自作自演式に女性である聞き手を無知な存在という枠に事後的に当てはめる」
要素としては、 ①マンスプレイニングの説明をする、②自作自演式に③女性である聞き手を無知な存在という枠に事後的に当てはめる、という感じでしょうか。
まずは、「マンスプレイニング」の説明を探しましょう。もちろんこの単語が出始めたところに説明が書いてあるはずです。
「自作自演式に」については、質問されていないのにさも質問されたかのように振舞うということですね。
最後に、「女性である聞き手を無知な存在という枠に事後的に当てはめる」については、傍線部2の直前にある「聞き手が『無知な者』の位置に押し込められる」を使えばよいでしょう。事後的に・・・という話は3ページの左から6行目くらいに載っていますね。
ちなみに、問3の模範解答を見てみましたが、これは受験生が試験時間内に書けるんですかね?問2はまぁ近いことを書きましたが、問3は書ける気がしません(苦笑)
そのため、一応私が書いた解答(試験本番ではこれくらいでいいのでは?という解答)を載せておきます。
→女性が美術館で絵を眺めているときに、男が女性に対して絵画に詳しくない前提で解説を始める行為は、調整によって、女性が質問をしたと想定され、後から聞き手が「無知な者」の位置に押し込められるということ。(98字)
これくらいで十分かなと思いますよ。(7割割ってたらスミマセン)
問4 全体を通しての内容理解問題ですが、「カ」は言い換えられすぎていてちょっと難しいかもしれません。「そんな話してなかったよね」と判断できる選択肢が多いので、どちらかというと消去法を使っていく方が楽かなと思います。
大問2
問1 漢字→頑張れ。学校のテキストか、何も持っていなければ
入試 漢字マスター1800+ 四訂版 (河合塾シリーズ)
でよいと思います。(河合塾の回し者ではありません)
問2 接続語ですが、そこまで難しくなかったかなと思います。基本的には空欄の前後を見て、両者の関係性を考えて対処していけばOKです。
問3 これは何が問いたかった問題なんですかね・・・?「行って帰る」絵本なので、冒険に出かけ、最終的に故郷に帰ってこなければなりません。そもそも帰ってくるのがイしかないのでこれで終わりですね。
問4 理由説明問題ですね。本文がやや難解?なので読みにくいところはあるかなと思います。
まずは結論を探しましょう。
「筆者はなぜ絵本では登場人物は成長しないと考えているのか」という問に答えることが大事です。
傍線2の前後に「元の世界に復帰する、世界の均衡が回復される、話がはじまるまえの元の状態に帰ってしまう」等の記述がありますので、「登場人物は元の状態に戻るから。」というのが帰結になりそうです。
あとは、これを肉付けしていきます。絵本の話がないことと、元の状態に戻る前提(秩序の崩壊・カタストロフィー)の部分が無いことからこれらを探していきましょう。
探す場所は7ページ真ん中下の「つまり絵本の主人公は~そのため経験によって成長などしないのです」という話よりも後のところですね。次の段落やその次の段落は譲歩の段落でメインの理由は8ページの2行目~3行目に書いてありますね。「理由は絵本というメディア自体に内在している」という表現を見て、この辺りにヒントがありそうだと考え、段落末に「もともと絵本はそのような主体としての主人公の経験を表現する媒体ではない」という絵本の特徴が見つかると思います。
その他に、9ページ真ん中くらいから頻繁に登場する「空間構成」はキーワードですね。「空間構成における均衡と不均衡のダイナミックな運動のプロセス」は答えに採用してよいところだと思います。これが結局は「日常の秩序の崩壊から世界の均衡が回復されて元の状態に戻る」という話につながりますね。元の状態に戻るということはその前提として何らかの変化があったはずなので、その変化については触れないとどこからもとに戻るのかが不明確ですね。
以上の内容をまとめれば7割解答にはなると思います。
問5 これも大問1の最後の問題と一緒で消去法の方が楽かなとは思います。間違っている選択肢は「そんな話出てこなかったし絶対ないでしょ」と切れるものが多いかなと思います。
以上ざっとまとめてみました。
記述問題は苦手な人が多いですが、やってみると記述問題の方が点数が確保できるのでおススメです。(マークは満点OR0点ですが、記述は途中点を拾えるため)
面倒でも臆せず答案を書いてみましょう。解きなおしの際に上記の試行プロセスをたどりながら自分なりに解答をまとめてみるととても勉強になりますよ。
頑張ってください!