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【大学受験数学】記述の「良い」答案と「悪い」答案とは?

目次
- 執筆者紹介
- はじめに
- 記述式の答案作成の「悪い例」
- ①計算ミス
- ②必要十分条件を考えていない
- 記述式の答案作成の「ポイント」
- ① 「抜けなく」考える
- ② 「重複なく」考える
- ③ 「場合分け」をすれば述べられるものは積極的に場合分け
- さまざまな場面で使える言い回し
執筆者紹介
医塾 神田先生
元奨励会員という経歴の持ち主で、現在もアマチュアの将棋大会に出場するなど熱心に活動中。将棋を通して培った論理的な思考力と発想力が、中学受験算数・理科や、大学受験数学・物理の指導に活かされている。数多くの生徒を東京大学や私大医学部などの難関大学に合格させた実績を持つ物理と数学のスペシャリスト。自らを「数学オタク」と称し、時間があれば算数・数学オリンピックの問題に挑戦するなど、「考えること」が大好き。神田先生自身が楽しそうに問題に向き合う姿勢が生徒の刺激になると同時に、問題を解く楽しさも伝えてくれるので、数学・物理が好きになる生徒を多数生み出している。
はじめに
数学は「解ける」だけではなく、途中過程を記述しないとならない科目です。それゆえ、記述式答案の提出を要求されることが、定期テスト・模試・そして大学受験とその機会は数多く存在し、その度に「こんなに記述で引かれるんですね」と感じることもあるかと思います。記述式の答案の作成の注意点を述べます。
記述式の答案作成の「悪い例」
①計算ミス
計算ミスをしてしまっては、その先は全く採点されません。計算量が膨大になってしまう場面では「本当にこれが正しいのか?」と立ち止まって考えることも時に重要です。もちろん、計算して答えが出れば良いのですが、そうなる見通しが立たなそうであれば、時間の掛け方として「別の解き方がないか」を考えるようにしましょう。
②必要十分条件を考えていない
例えば次の問題を考えます。
全ての実数
x において、
ax2−2ax+1>0 が成り立つような、実数
a の値の範囲を求めよ。
この問題に対し、以下の答案があったとするのであればどのように間違いを修正しますでしょうか?修正すべき間違いを自力で見つけられると、試験本番でも間違いにくくなります。練習問題として解いてみてください。
全ての実数
x
において、
ax2−2ax+1>0
であれば、
x
軸と共有点を持たないので、
ax2−2x+1=0
の判別式を
D
とすると、
D<0
であればよい。
間違いを見つけてみましょう!
この答案の作者の重大な欠陥としましては、「常に
y>0 である」ということは「
x 軸と共有点を持たない」と読み取っていますが、逆の「
x 軸と共有点を持たない」ならば「常に
y>0 である」ということを満たしているかを考えられていない点にあります。
常に、読み取ったことの逆が成り立つかを考えるようにしましょう。言い換えると、次のような答案に仕上げることができるでしょう。
全ての実数
x
において、
ax2−2ax+1>0
であれば、
a=0a=0 のときは自動的に条件を満たす。
a<0 のとき、左辺はある
x
に対して
ax2−2ax+1<0
となってしまうため条件を満たさない。
a>0a>0 のとき、
x
軸と共有点を持たないようにするため、
ax2−2x+1=0
の判別式を
D
とすると、
D<0
であればよい。
答案としてはこの程度書いて、この後を計算すればOKです!
a の値を場合分けすることによって、証明の方針が見える問題でしたが、3つの場合分けの後を読めば分かるように、必要十分となる内容が異なる。
a=0 のときは、左辺は1となるので、これは不等式を「絶対に」満たす。
a<0 のときは、条件を満たさない。これは、
x が限りなく大きくなると、
左辺
=a(x2−2x)+1 とくくり出すことにより、
x2−2x が限りなく大きくすることができる数のため、いずれ左辺
<0 となります。
記述式の答案作成の「ポイント」
① 「抜けなく」考える
上記の例では、
y=ax2−2ax+1 が2次関数を表すということを考えてしまっているのみであり、
a=0 のときは1次関数(もっといえば、定数関数)になります。下に凸の放物線だけでないことを、
a の値を色々と想定して考えましょう。
② 「重複なく」考える
数学Ⅰの2次関数では、「解の配置」と呼ばれる問題もあります。
例えば、下に凸の2次関数
y=f(x) において、
f(x)=0 を満たす
x は異なる実数解が2つ存在するとします。
1)実数解がともに正になるとき、考えるべき条件は
D>0 かつ、軸
>0 かつ、
f(0)>0
を満たせば良いです。
2)実数解がともに負になるとき、考えるべき条件は
D>0 かつ、軸
<0 かつ、
f(0)>0
を満たせば良く、これは1)同様に考えられます。
ただ、以下の場合は少し様相が異なります。
3)実数解のうち一方が正、もう一方が負となる
このとき、考えるべき条件は
f(0)<0
を満たせば良いのですが、
f(x)=0 は異なる2つの実数解を持つのに、なぜ
D>0 を考えていないのでしょう?
これは、
f(0)<0 であるのであれば、関数自体は下に凸であったため、何らかの値で
f(x)=0 となる
x が存在するのです。したがって、
f(0)<0 を満たすのであれば
D>0 を満たすため、考えなくて良い訳です。
重複する条件や、一部が重複している条件について(特に場合の数・確率で多いですね)問題を解くために条件の個数を多く考えすぎないようにしていきましょう。
③ 「場合分け」をすれば述べられるものは積極的に場合分け
先ほどの問題に戻ります。
全ての実数
x において、
ax2−2ax+1>0 が成り立つような、実数
a の値の範囲を求めよ。
これに対し、この答案を作成した作者については、漠然と
a>0 で述べてくれましたが、
a=0 や
a<0 についても述べよ、と言われてもピンと来ないかもしれませんが、
a を場合分けしないことには後ろの条件を定めることができませんでした。
全ての実数
x
において、
ax2−2ax+1>0
であれば、
x
軸と共有点を持たないので、
ax2−2x+1=0
の判別式を
D
とすると、
D<0
であればよい。
(再掲)解答例
これは場合分けを行っていないための答案でしたが、場合分けせず、以下の
全ての実数
x
において、
ax2−2ax+1>0
であれば、
a=0a=0 のときは自動的に条件を満たす。
a<0 のとき、左辺はある
x
に対して
ax2−2ax+1<0
となってしまうため条件を満たさない。
a>0a>0 のとき、
x
軸と共有点を持たないようにするため、
ax2−2x+1=0
の判別式を
D
とすると、
D<0
であればよい。
(再掲)場合分けした模範解答
「自動的に条件を満たす」「条件を満たさない」「
D<0 であればよい」を総括して述べることはできないですよね。「述べたいこと」を述べるようにしてあげるための「場合分け」ですので、場合分けを「面倒」と思わず積極的に使っていきましょう!
さまざまな場面で使える言い回し
(〇〇であるためには)「〜であればよい」
さまざまな場面で「〜であればよい」と言えるようになると、数学力は上がります。問題の条件を、数式の条件に「言い換える」ときに用いるようにしていきましょう。普段の数学の学習の中でも、「〜であればよい」と述べている解説部分に着目して解説を読むようにするといいです。
数学の記述答案は「解説を読むだけ」では改善しにくい
ここまで、数学の記述答案で意識したいポイントとして、
・条件を抜けなく考えること
・重複する条件を整理すること
・必要な場合分けを行うこと
・問題の条件を数式の条件へ正しく言い換えること
を説明してきました。
しかし、これらのポイントを理解しただけで、すぐに答案へ反映できるとは限りません。
自分では十分に書いたつもりでも、採点者から見ると、
「なぜ、その式が成り立つのか説明されていない」
「必要な条件が一つ抜けている」
「場合分けの基準が明確ではない」
「結論までの論理が飛躍している」
「正解しているが、答案としては回りくどい」
という問題が残っていることがあります。
数学の記述力を伸ばすには、完成した模範解答を見るだけではなく、自分が実際に書いた答案について、「どこまで伝わり、どこから伝わらないのか」を具体的に指摘してもらうことが重要です。
医塾では、大学受験数学の答案を完全1対1で添削します
医塾は、中学受験・高校受験・大学受験に対応した、社会人プロ講師による完全1対1のオンライン個別指導塾です。
大学受験数学の指導では、答えが合っているかどうかだけを確認するのではありません。生徒が実際に書いた途中式や記述を一つずつ確認し、論理の飛躍、条件の不足、場合分けの漏れ、説明の過不足まで具体的に添削します。
同じ問題を解いても、生徒によって使う知識、考え方、つまずく場所は異なります。そのため医塾では、模範解答を一方的に説明するのではなく、生徒自身の答案を出発点として指導します。
「どこまでの考え方は正しいのか」
「どの一文を補えば答案として成立するのか」
「別解として認められる考え方なのか」
「試験時間内で、どこまで書く必要があるのか」
といった点まで確認し、次に同じ種類の問題が出たときに、自力で答案を完成させられる状態を目指します。
このような高校生・受験生に適しています
「計算結果は合っているのに、記述で減点される」
「自分の答案のどこが不十分なのかわからない」
「模範解答と違う解き方をしたとき、正しいか判断できない」
「数学の途中式や証明の書き方を基礎から直したい」
「国公立大学や難関私立大学の記述対策をしたい」
「医学部受験に向けて、答案の完成度を高めたい」
医塾では、オンライン授業中に答案を画面で共有しながら、その場で添削と解説を行えます。授業録画を見直すこともできるため、指摘された内容を授業後にもう一度確認し、答案を書き直す学習にもつなげられます。
この記事の後半では、医塾で実際に行っている数学答案の添削例を紹介します。
解けなかった答案に対して、どのように発想のきっかけを与えるのか。正解している答案の論理を、どのように整えるのか。さらに、想定を上回る優れた解法をどのように評価するのか。実際の添削をご覧ください。
医塾公式ホームページ
https://ijyuku.com/
お問い合わせページ
https://ijyuku.com/contact/
医塾での実際の添削例
① 解けなかったとき
大学受験数学は発想の転換点があるものなので、発想の転換点を伝えた上で、その先を考えるようにさせています。特別な発想を、要点を凝縮して指導しています。
② 解けたとき
上記は「論理が飛躍している」と感じる箇所を修正していますが、他にも「条件が不足している」ことや「回りくどい」解き方をしている答案を修正しています。
③ 想定を上回る答案
数学は発想力も一つの数学力の要素です。「エレガントですね」と書いていますが、この問題は複素数平面の問題において、商を考えることにより求めています。
w=z1 と置換して
w の軌跡を求めるため、予め
z で割っておくという発想をして求めていたため、良い答案だと感じ褒めています。
まとめ
数学の学力は「記述の答案」を書くことによって、書くことができていない箇所や書いたものが間違えていることに気づくものです。書くことが出来なかった場所は理解できていなかった場所でもありますので、ポイントに基づいて、「〜であればよい」と述べられるように解説を復習しましょう!




